ゲージツの秋。

平日の午前中から、上野の森に行ってきました。
(仕事をしている方々からしたら、反感を買いまくりなエントリかもしれないけど・・・)


秋晴れの空に何を想う西郷どん


上野に平日で行くということは、週末ゴッタがえす美術館に足を運ぶのが常というもの。


2つ行ってきました。

フェルメール展@東京都美術館


フェルメールが発する光は、観る人の眼から入り胸の奥の幸福の扉を照らしだします。
西洋美術史上、最も才能溢れる画家、
三十数点しか現存しない作品により謎のベールに包まれた画家、ヨハネス・フェルメール
350年以上の時を経て、いま世界中で最も熱く高い脚光を浴びています。
独特な光の質感と知性的なタッチで人を魅了する絵画の中で、
とくに評価の高い作品群が奇跡のように集まりました。
同時にフェルメールが生涯を過ごしたオランダの小都市が育んだ
美の潮流デルフト・スタイルの画家たち、
カレル・ファブリティウス、ピーテル・デ・ホーホ等の名作も紹介します。

日本初公開の作品もふくめ、いまだかつてこれほどの傑作が日本で一堂に会したことはありません。
名作たちに時を忘れ心奪われる、おそらく最初で最後の展覧会です。

フェルメールのみならず、オランダの小さな街、デルフトで17世紀後半に活躍した画家の痕跡を辿る展覧会。


とはいっても、主役のフェルメールの絵画7点(生涯で30数点だからね、たった7かよとは言えません)の重さがすごかったです。


全体的に言える事として、この時期の風俗画・風景画は遠近法(透視図法)、自然光の表現にものすごく繊細だと言う事。
時代的な背景や、作品に込めたストーリーに思案を巡らす余地もなく、ただただ、作品自体の美しさに魅かれてしまいます。


人物の表情(特にフェルメールの「リュート調弦する女」「ヴァージナルの前に座る若い女」)の醸し出す奥深さは、絵画の技術としてこれほどまでに人間味を的確に映し出したものはかなり稀なんじゃないかと思いました。いやよくわかんないけど。

ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情@国立西洋美術館


本展は、2008年6月28日から9月7日まで先行してロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(RAA)で開催され、9月30日から12月7日まで東京の国立西洋美術館で開催されます。

両展とも、ハンブルク展のキュレイターであったフェリックス・クレマーと、国立西洋美術館佐藤直樹が共同で企画しました。出品作品はロンドンでハンマースホイ約70点、東京ではハンマースホイ約90点にハンマースホイと同時代に活躍したデンマークの画家ピーダ・イルステズとカール・ホルスーウの約10点を加えた総数約100点となり、これまでにない大規模の回顧展が東京で実現する運びとなりました。

ハンマースホイによって繰り返し表わされた主要モチーフに焦点を合わせることで、彼の芸術の主題と表現を改めて問う意欲的な試みとなります。
ハンマースホイは、年月とともにモチーフや作風が変貌していく作家ではなく、限られたモティーフにこだわり、初期から晩年まで同主題の作品を一貫して制作し続けました。
その画業から、展開や進歩という概念とは無縁の、最初から完成されていたひとりの芸術家の姿を見ることになります。
さらに、同時代に活躍したイルステズやホルスーウの描いた暖かみのある室内表現と比較することによって、ハンマースホイの寂寥とした芸術世界の特異性を視覚的に理解できるでしょう。

こちらはデンマークの、今まではそんなに日本で名の知れていなかった画家のもの。
オカンが観ろ観ろうるさいので観てきました(なんとかホイ、なんとかホイとしか言ってなかったけど)。


フェルメールと同じく、部屋の中に人が置かれた図式が多い(実際にフェルメールに影響を受けていたようです)んだけど、こちらは前述のデルフトの画家たちと決定的に違っていて、とにかく放置プレー。何がって、観る人に対して。


物理的に後ろ向いてる人が多いというのもあるけれど、絵全体から重ーい、さむーい、どんよーりしたオーラが滲み出ています。
そればかりか、表情も読み取れない、部屋の配置は微妙に現実的にあり得ないものにしている等、観ている者に?マークを抱かせるようなアプローチばかりとっています。


実際に作者は静寂を好んでいたようで(展覧会のタイトルで一目瞭然ですな)、暖かみや快活さというのは頑なまでに拒否した作品ばかりなんです。


この人の作品は好みがわかれるだろうなあ。
自分も重たすぎてそれほど入れ込めなかったのが正直なところ。
フェルメール展と連続で観たことで、いい対比関係になった気もしますけど。

※ちなみに国立西洋美術館世界遺産の候補にしようとしてるんだね。
知りませんでした。



・・・と、2つの展覧会を観てきたんですけど、フェルメール展は平日にも関わらず混雑。並ぶ必要はなかったけどね。
改めて思ったことだけど、日本人って美術館が大好きですよね。
でも、今回のように著名な作品が来日するような特定の展覧会ばかりがフォーカスされているような気がしてならないです。


ベクトルがそれほど遠くないハンマースホイ展は、ガラガラとまではいかないもののかなり余裕もてたしね。
もちろんみんなどんどん実際に足を運んでいくべきだから、フェルメール展の混雑も喜ばしいことなんだけど、もう少しバランスよくできないもんだろうか。



夕暮れ時のアメ横から、御茶ノ水駅まで歩いてみました。
ひさしぶりに、本当に気持ちよい秋の夕暮れ。


今月いっぱいは、仕事のお休みが続きそうなんだけど、足をケガしてしまったため潜り旅行なんかはできないんです。
まあせっかくの機会だし、いろいろ見聞を深める時期として捉えようと思ってます。