クラウド化する世界

ニコラス•G•カーの「クラウド化する世界」を読む。

クラウド化する世界~ビジネスモデル構築の大転換

クラウド化する世界~ビジネスモデル構築の大転換


以前「ITにお金を使うのは、もうおやめなさい」を出した著者が、これから迎えるクラウドコンピューティングの時代がどのような影響を我々に与えるかを論じています。



前著のようなアンチIT投資な論調ではなく、客観的に、将来的な功罪を明示しています(後半だいぶネガティブになってくるけど)。



要点は、ざっくり言っちゃうと以下ふたつ。
■中央から電力が供給されるシステムによって人間の生活に電気が行き届き、現代社会を形成したように、ブロードバンドインフラとSaasによって、ハード/ソフトを自前で持たずとも用途を充足できるクラウドコンピューティングの時代が到来し、再び社会が転換を迎えるであろうこと。


ウェブサービスの多様化•高度化により、豊かな文化の形成•人々の調和と相互理解、ひいては自分達以上の頭脳までが手に入れられるという側面と、それにより我々が失うものについて。



前者は、IT業界に働く人間なら耳にしている話だし、後者はWeb2.0の功罪に関する数多の本と同様の話が続きます。
つまり新しい発見があるような本ではないですね。



ただし、今まで以上に「これは追っていかないとヤバいんじゃねえの?」ってことは痛感させてくれる内容でした。



今自分の周りで芽生えている技術革新が、どんなかたちで生活に影響してくるのか。
気がついたらいろいろ便利になってました、では、技術の使い方を考える余地しか残らず、自分の頭で影響を考えることができなくなってしまう。



グーグルストリートビュー
今、まさにサービスの在り方が問われてますよね。
問われている今だからこそ、「街中がこれだけ鮮明にわかってしまうのってどうなの?」と自分の中に問いかけられます。
この後どういう扱いになるのか(サービスのメリットがどうしても弱いので、だいぶねじ伏せられちゃうのではと思ってますが)、結論が出てからでは、使用法しか考えられなくなっちゃう。



やっぱり、この本じゃなくてもいいから、読んだ方がいいと思います。
極論をいえば、自分の生活が守れなくなってしまう。

すべての技術的変化は、世代の交代である。新しい技術の最大限の力と重要性が発揮されるのは、その技術とともに育った人たちが大人になって、時代遅れの親世代を脇に追いやるようになってからだ。旧世代が世を去るに連れて、新技術が登場した時に失われた事物の記憶も失われ、獲得されたものの記憶だけが残るのだ。このようにして、進歩はその痕跡を覆い隠し、絶え間なく新たな幻想を生み出す ー 我々がここにいるのは、我々の運命なのだという幻想を。


生きてる間に旧世代にはなりたくないですね。



しかしはてなtouch、長文あげるのはきつい。。