クレーかわいいよクレー。

ピカソとクレーの生きた時代@Bunkamura


日曜の渋谷という、大ッ嫌いな人にとっては地獄絵図に近い人混みをかいくぐって、見てきました。


デュッセルドルフにあるノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館の改装期間を利用した、クレー作品を中心としたコレクションの日本巡回。
前半は、1900年代初頭〜2度の対戦を経た西欧近代美術の総集編という感じで、表現主義キュビスムシュールレアリスムの作品群が並んでいって、後半はクレーの作品がズラーッと並んでます。



総集編という表現があてはまってしまうくらい、23もの画家の作品が所狭しと並べられてて、それはもう圧巻。おなかいっぱい。
しかも中盤は延々とシュールレアリスムが並んでいるので、頭に次々と変なものを打ち込まれていくかのような時間でした。



ピカソはともかくとして、やはり中心になるのはクレーの作品*1
クレーはナチス政権下で弾圧を受けて国外退去を余儀なくされて、作品も大部分が国外へ流出してしまいます。
それを戦後、「自国の負の歴史へのケジメ」として、美術館主が
周囲の反対を押し切り、巨額を投じてその作品を買い集めた結果なのだそうです。
すごいですな。この熱意。
過去を過去として忘れるのではなく、その清算を全力で成し遂げた事には、素直に「えらいなあ」と思えます。
こういった作品をきっちり国益として捉えてるんですねドイツは。



その他、前半に出てくる作品群にも、やはり悲惨な歴史というのが垣間見えてきました。中には志願兵として戦死した画家もいましたし。
こういうエピソードはほんとに重苦しくさせるんだけど、そんな中生み出された作品から奥深さや戸惑いを感じさせられると、強い人間が強い影響を後世に残している事実に、改めて考えさせられます。



そんなふうに歴史の重みみたいな印象ばかり残しそうなものですが、クレーの作品は純粋に「かわいらしい」ものが多かったっす。クレーかわいいよクレー。



22日まで。未見で、3連休に何か見たいなあと思ってる方、混んだ渋谷に免疫があれば行ってみるがよろしかろ。



どうでもいいけど「ミュージアムショップ」っていうのはどうしてあんなにモノを買いたくなるんだろう。

*1:そういやうちのオカンが「やっぱり猫が好き」のセットにはクレーの絵がかかってた、と言い張るんですが、事実は未確認です。ほんとかよ