"理想のバンド"の過去と現在


今年に入って、俄かに周辺が騒がしくなっている、ユニコーンブランキー・ジェット・シティ
個人的に90年代にゾッコンラブ(死語)になった両バンドが、このタイミングで話題になっているところに、何かしら運命めいたものを感じずにはいられません。

ユニコーン

中学〜高校初期、かな。もうやる事成す事すべて好きでした。
あの一挙手一投足すべてに楽しさが詰まった5人のパフォーマンスは、当時ほとんど音楽に入れ込む事のなかった*1自分には、とにかく痛快でした。
いそいそと全部のアルバム・シングル・ビデオまで集めたのはユニコーンが最初で最後だったなあ。


でもライヴに行くなんて事は発想に全くなかったウブな中学生だった私は、解散発表のラジオを涙を飲んで聴いていました。*2


この当時、僕の中での「バンドの理想像」って、ユニコーンの中にありました。
メンバー5人が5人とも曲をつくっていろんな楽器を奏でて、全身から楽しさオーラを出している。
ワイワイガヤガヤ、とまでは言わないけど、これこそ複数の人間で音楽をやっていく姿の理想像なんだろうな、と思ってました。
だからこそ、解散してしまうこと、もっと言うと「すばらしい日々」のPVの最後のメンバーが散り散りになっていく映像は、ショッキングでした。


その後上京して、初めて奥田民生を武道館で観た日。*3
アコギ1本で「すばらしい日々」を高らかに歌い上げる姿をみて、正直なんというか、シビレました。
同時にユニコーン本隊を生で観られなかった事を、こりゃ生涯悔やみ続けるんだろうなあ、と悶々と感じてたのを思い出します。


涙のラジオから15年、ですか。
それが突然こんなことになってるわけですよ。

かたやブランキー

最初に認識したのって、いつだったろう?たぶん高校1年の時。94年くらいだったと思います。
当時名古屋だったので、街のCDショップなんかは、「名古屋にはこんなとてつもないバンドがいる」っていうかんじで強力にプッシュしてました。
でもまだまだウブな高校生だった私は、そのビジュアルの威圧感からだいぶ敬遠していた気がします。
まあそれからしばらくして「食わず嫌い」感がとれて、とりつかれたように貪り聴きまくってましたけど。


当時感じていたブランキーの魅力は、"緊張感"と"爆発力"っていうんですかね。
聴きはじめると、その緊張感から背筋が凍るような感覚を覚えて、気がついたら熱病に冒されたかのように汗だくになっている。
ギター・ベース・ドラムと最小限の楽器を持って、3人が睨み合って、その後激しくぶつかり合っているかのような印象。
とにかくユニコーンとは対照的な、新しく感じた"バンドの理想像"でした。


今、こんなことやってます。

"再結成"のありかた。

WAO!


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洋邦問わずざっとあげると、ここ3〜4年で再結成/再始動したバンド。
ツェッペリン、ポリス、ヴァン・ヘイレンマイブラピストルズスマパンフェイセズ、ヴァーヴ、ガンズ、YMOX JAPANジュンスカ筋少黒夢、フライング・キッズ、サニーデイ・サービスフィッシュマンズ・・・もろもろ。
一過性のものも含めてこう並べてみるともうなんか無茶苦茶じゃないすか。
再結成するかどうかより、いつ頃再結成するのかを論じたほうがいいんじゃないかと思うくらい。


「お見事!」と思わず唸ってしまう組も入れば、正直「大人の事情」を感じてしまう組もいます。
それぞれが"再結成"っていうものにフクザツな思いがあるでしょうし、少しでも「みっともなくない」モノにしようとすごい努力を払ってるんだと思うけど、「ホントにこの人達は再度集まる必要があるんだろうか?」って思わせるようなケースも少なくないです。


そんななかでのユニコーンの再結成の報せ。
ものすごいスピードでアルバム・ツアーのニュースが飛び込んできたのは、当人たちの「再結成のありかた」への思いの表れのようです。
まずはアルバムを作って、どんな音が出せるのか、どんな楽しさが出てくるのかを確かめ合った上で、外に出せるものだったら出そう、という1年もの間の潜行があったようです。


自分が一時的にでも「理想像」を見た人達が、こういった経緯で再結成のありかたをキチンと見つめてるのは、ちょっとうれしい気がしました。
そして新曲も、もうユニコーンとしか言いようがないほどユニコーン
生で観てみないことには判断がつかないし、過剰な広告などからお金のニオイがして萎えるところもあるけれど、これはリラックスして迎えられそうな気がします。あ、チケット確保できてないけど。

で、今後はどうなるんでしょう

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解散してから8年が経ちますが、たぶん僕は「半年以上」ブランキーの音を聴いてない期間はないように思います。
それも、ユニコーン等のように懐古的な気分になって聴くのではなくて、あぁカッコいいもんが聴きたいや、っていう時に行き着くところは結局ブランキーなのです。


ブランキーも終わってミッシェル・ガン・エレファントも終わって*4、日本のバンドで掛け値なしの「カッコよさ」を感じさせてくれるバンドを、ほんとに見なくなった。
もちろん自分が今をぜんぜん追ってないから見えてない部分が多いんだろうけど、今パッとこの質問を聞かれたらほとんど思いつかないです。


いや、いっぱいいるんでしょうけどね。
でもなんかブランキーで止まっちゃってるんですよ、思考が。


現時点では、ブランキーは再結成の話は出ていないようです。
解散後、メンバー3人ともが他に例を見ないほどものすっごいスピードで駆け抜けているだけあって、現時点で3人が再度集まって音を出したらどうなるんだろう、っていうのは非常に気になるところだし、前述のように、ただただカッコいいものを求める気持ちでブランキーも求められる気がするのです。
再結成のありかたかくありなん、みたいな小難しい話も必要なく、すんなり受け入れられるような気がします。


ブランキーみてえなあ。


こういう日記を書いている時点で東芝EMIの策に溺れているのも事実なんですけどね。。

*1:チャゲアスは除く。

*2:忘れもしない、1993年9月21日。電気グルーヴのオールナイトニッポンの時間でした

*3:「ひとり股旅スペシャル」でした。98年だったかな・・・

*4:この両バンドにいつまでも固執している人はやたら煙たがられてますけどねこの数年。しょうがねえじゃねえかよ好きなんだから。